【撮影エピソード6】深川神明宮の「水かけ祭り」ー製作の原点

「進」役、徳久ウィリアム(撮影:大西みつぐ)

今回は「小名木川物語」の見どころの一つである「水かけ祭り」、深川神明宮例大祭の撮影エピソードです。今年2018年8月は、3年に一度の本祭りがまた巡ってきます(10日~12日)。

このお祭りは本作製作の原点です。2012年8月の本祭りのとき、大西みつぐ監督やプロデューサーの東海亮樹ら製作陣、後にスタッフ、キャストとなる何人かが一緒に神輿を担ぎました。このとき、休憩時間に神輿のそばにたたずむ浴衣姿の女性を目にして、大西監督がふと、映像を撮りたいなあと口にしました。それがそもそものきっかけでした。そのときはまだ冗談半分でしたが、その翌年、製作が始動しました。(6年後の今も作品に携わっているとは夢にも思わず…)

深川出身の大西監督も、深川歴数年の製作陣も、実際に神輿を担ぎ、大量の水を浴びて、この体験が他にたとえようのないほど非日常的で楽しいことや、各町で代々受け継がれていることの素晴らしさを、そして「洗い流し」「蘇らせる」水の力を2012年の夏に改めて実感しました。そういうわけで、祭りの撮影は当初からの大きな目的でした。

実は本作でのお祭りのシーンは、2013年、14年、15年と3年越しで撮影したものを組み合わせています。観た方は「え、そうだったの?!」と思われたことでしょう。映画なので何卒お許しください!

2012年の深川神明宮例大祭(撮影:大西みつぐ)

エピソードの前に深川のお祭りについてミニ解説を。深川には多数の町会が参加するお祭りが2つあります。一つが、江東区森下にある深川神明宮の例大祭で、もう一つが門前仲町の富岡八幡宮の例大祭です。通称「神明さま」の方は12の氏子町会、「八幡さま」には約54の町会が参加します。

深川は、小名木川を境に北の「神明さま」と南の「八幡さま」の氏子町会に分かれています。八幡さまの方が範囲が広く、圧倒的に数が多いので、江戸三大祭りの一つにも数えられ、よく知られています。隅田川にかかる永代橋を次々と神輿が渡る風景などは、本当に絵になります。その点、神明さまのお祭りは、そのようなドラマチックな場所があるわけではなく、観光客が押し寄せることもありません。しかし、どちらのお祭りも真夏(お盆あたりの週末)に開催され、神輿や担ぎ手に沿道から盛大に水をかける点は同じ。各町会の人たちの心意気や熱気も同じです。そして深川神明宮には富岡八幡宮よりも長い歴史があります。深川という地名の発祥となった、深川八郎右衛門さんが拠点とした場所なのです!

(撮影:大西みつぐ)

話を戻すと、どちらも本祭りの開催は3年に一度。すべての町神輿が一斉に同じコースを巡幸する「連合渡御」が行われます(両者は年をずらして開催されます。昨年2017年は富岡八幡宮の本祭りでした)。

ただ、本祭りではない年も「蔭(かげ)祭り」として、小規模の神輿巡幸を行う町があります。私たちが撮影でお世話になった江東区・森下一丁目町会は、深川神明宮のお膝元にあり、「蔭」の年も神輿を出して、短いコースを周ります。最初の撮影を行った2013年は蔭で、私たちは町会にご協力をお願いしました。そして町の方からは、主演の徳久ウィリアムさんが町の方と一緒に神輿を担ぎ、邪魔にならないように撮影させていただく許可を快くいただきました。

祭りの前夜。森下一丁目(宮元)の神輿庫前(スタッフ撮影、2013年)

森下一丁目町会は、お宮のお膝元なので、「宮元」とも呼ばれます。

2013年に初めて撮影したときは、再び翌年も撮影するとは思っていなかったので、一回限りのつもりで撮影に臨みました。当日8月11日、東京は最低気温が30℃台、最高気温は38℃という記録的な暑さに。ラインプロデューサー、東海明子によるブログに日記が残っています。

「朝、家を出たときからかなりの暑さで、今日は大丈夫なんだろうかと思っていたら、森下に近づくにつれ、町には祭り囃子が流れ、神輿の準備をする人でいっぱい。どの町からも子供神輿が出るので、早朝から準備。みなさん、いつものようにシャキシャキ働いているので、もうすっかり大丈夫だという気持ちに」

蔭祭りのため、神輿は午後からのスタートでした。午前中から着付けなどの準備を開始。そして昼頃から撮影を始めました。

撮影風景(2013年、スタッフ撮影)

神輿巡幸が始まる前のスナップ。真夏の日差しに耐えるスタッフと、主演の伊宝田隆子さんです。先ほどのブログには「昼頃は太陽が照りつけて汗だくに」と書かれています。既に35℃を超えていたことでしょう。当日の巡幸ルートマップを保存していました。上の写真は、下の地図で②とある神酒所の前です。(注:本祭りの連合渡御ルートとは異なります。)

少し撮影を行ったところで、いよいよ神輿が出発。次の写真は映像からのキャプチャーですが、出発まもなくの光景だったかと思います。

(2013年、映像より)

神輿巡幸が始まると、移動撮影のため気が抜けず、暑さは二の次に。一度だけ、撮影の芹澤カメラマンに水がかかりそうになりましたが、スタッフが覆いかぶさって無事でした。徳久ウィリアムさんは巡幸の途中から神輿に参入し、長い時間担がせていただきました。撮影チームは屋外に5時間近くいましたが、水分を補給し続け、途中から雲が増えたのにも助けられ、無事乗り切りました。

それから1年。2014年の夏は、これからまた物語を再構成して一つ一つ撮影を進めていこうという、まだまだ終わりが見えない時期でした。過ぎてみると1年はあっという間。再び森下一丁目町会に撮影をお願いし、ご快諾いただきました。「大作だからね~」と町の方(笑)。優しいお言葉に感謝感激でした。この日も暑かったですが、夏らしい青空に恵まれました。徳久ウィリアムさんは前の年に神輿の楽しさに目覚め、2回目もノリノリで担いでくれました。

2015年の深川神明宮例大祭・宮神輿(撮影:大西みつぐ)

こうして主役のシーンは2年越しで撮り終えたのですが、翌2015年の夏、撮影はまだ続いていて、さらに本祭りの年だったので、また少しカメラを回しました。上の写真は本祭りだけお目見えする、深川神明宮の立派な宮神輿です。

結果的には、3年越しの撮影により、このお祭りのさまざまな姿を、そして町の方々の結束とパワーをご覧いただけることになったと思います。そして「洗い流し」「蘇らせる」水の力を感じていただけると思います。

一つだけ小ネタを。巡幸中に神輿を担ぎ手たちが持ち上げるシーンがあります。あそこはみんなで一斉に「差せ!差せ!」と言っています。神輿を担ぎ慣れた方々ならではの技で、観ているだけでも爽快です。(上に掲載したルートマップには「差し上げポイント」と書かれています。森下駅のある交差点です。)

作品より

2018年の本祭りですが、8月11日は各町会のリレー方式で宮神輿が巡幸します。そして12日がメインイベント、町神輿連合渡御です。詳しくは深川神明宮の公式サイトをご覧ください。

http://fukagawa-shinmei.com/

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