【小名木川物語の世界2】俳人・石田波郷

『小名木川物語』では、俳句が重要なモチーフとなっています。

今回は「小名木川物語と俳句その1」として、昭和を代表する俳人の一人、石田波郷(いしだはきょう 1913年(大正2年)- 1969年(昭和44年))をご紹介します。本作の「脇役」と言っていいほど、波郷さんには作品の中で重要な役割を果たしていただきました。
数々の俳人を輩出した愛媛県松山市の出身。戦後の昭和21年から江東区の砂町に約12年間住み、戦災の傷跡が残る町を俳句に詠みました。、

石田波郷記念館企画展チラシより

また昭和31年、新聞の連載記事『江東歳時記』として、隅田川以東の江東区、墨田区、江戸川区、荒川区、葛飾区、そして足立区のさまざまな場所を取材し、四季の風物を俳句と散文で綴りました。後に単行本となり、当時カメラに凝っていた波郷の写真も何枚か使われています。現在も文庫で読めます(写真は残念ながら掲載されていません)。約60年前の記録なので、現在では失われた風景や職業が数多く登場し、それだけでも貴重で興味深いのですが、波郷の観察眼と軽妙な筆致がとても楽しい作品です。

昭和19年、召集されて中国に駐留していたときに結核にかかり、以後は病とともにある人生でした。『江東歳時記』が執筆されたのは、比較的病状が安定して元気だった頃です。江東区砂町文化センター内には石田波郷記念館があり、原稿や遺品などが展示されています。かつて家族と住んでいた場所には、写真のように「石田波郷宅跡」の案内板が立てられています(清洲橋通りと明治通りの境川交差点からすぐ。志演尊空神社と妙久寺の間)。

石田波郷宅跡(江東区北砂)

『江東歳時記』から、深川森下の馬肉料理「さくら鍋 みの家」さんを訪れたときの句を。みの家さんは、今も森下の人気店です。

暖簾割る 夜寒の肩をつらねけり

波郷が本作でどのように登場するか、どうぞお楽しみに!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です